日本での留学生活を成功させるには、ただ「授業で良い成績を取る」だけでなく、制度・法令・社会情勢を正確に把握することが不可欠です。特に在留手続き、学費・物価、就職・将来設計といった領域では、制度変更や政策の動きが生活基盤に直結します。本記事では、2025年10月時点で押さえておくべき制度変更、経済・物価動向、政治・政策の方向性を、行政書士・留学生支援者の視点から整理してお伝えします。
1. 在留手続き・ビザ制度の最新変更
在留手続きの手数料改定(2025年4月1日から)
2025年4月1日より、外国人の在留手続き(在留資格の変更、在留期間更新、永住許可申請など)にかかる手数料(収入印紙代)が改定されました。
主な料金は以下の通りです(窓口申請/オンライン申請)
| 手続き | 手数料(窓口申請) | オンライン申請(割引適用) |
|---|---|---|
| 在留資格の変更許可 | 6,000円 | 5,500円 |
| 在留期間の更新許可 | 6,000円 | 5,500円 |
| 永住許可申請 | 10,000円 | ―(オンライン割引設定なし) |
| 再入国許可(1回) | 4,000円 | 3,500円 |
| 再入国許可(数次) | 7,000円 | 6,500円 |
| 就労資格証明書交付 | 2,000円 | 1,600円 |
注意点
- 2025年3月31日以前に受理された申請については、許可・交付が4月1日以降でも改定前の旧料金が適用されます。
- オンライン申請制度が拡充されており、窓口より若干割安な金額設定となっています。
- 永住許可申請など、オンライン割引が無い手続きもあるため、事前確認を。
この改定は、収入印紙価格の見直しや審査体制強化、オンライン化の推進を背景としたものとされています。
入管法・関連制度の改正動向
- 技能実習制度 → 育成就労制度
従来の技能実習制度は、労働力確保の手段との批判もあり、2024年の改正で育成就労制度への移行が計画されています。
新制度では、実習生の転籍(雇用先変更)・昇進機会の拡大、育成機関による個別育成計画の義務付けなどが導入され、最終的には特定技能制度への移行がスムーズに進む設計が検討されています。 - 特定技能制度の運用見直し
2025年4月1日より、特定技能制度における届出事項や届出頻度、提出書類などの運用が見直されました。
たとえば、定期届出の頻度や定型書類の要件緩和、オンライン手続きの拡充などが含まれています。 - 入管法全体の方向性
過去数年で、外国人受け入れ拡大や審査強化、安全保障観点のチェック強化を目的とした改正が段階的に行われています。
今後、技術・研究分野や国際競争力強化を視野に入れた制度優遇措置が拡充される可能性があります。
2. 入国・入学申請で留学生が留意すべき新要件
日本語能力・学修履歴要件の強化傾向
近年、入学申請段階および在留資格認定(COE取得)時に、日本語能力要件が一段と厳格化する動きがあります。
具体的には
- 研究生・聴講生・科目履修生など非正規型の学生について、「日本語能力試験 N2 以上相当」を求めるケースが増えているとの報道があります。
- 専門学校等(日本語教育機関以外)での学修を希望する留学生には、その前に「日本語教育機関での学習を1年以上行うこと」が条件とされる場合が議論されています(従来は6か月以上)との情報もあります。
- 一部報道では、言語学校への入学申請に際して「JLPT N5 相当以上」の証明を提出させる方針が伝えられているものもあります。ただし、公式な政府告知としての確認は不明です。
これらは正式な法令改正ではなく、大学・語学学校・地方の入国審査の運用判断として判断の幅が拡大している側面があります。申請先の学校・入国管理局の最新案内を必ず確認してください。
入管局の在籍管理強化
入国管理局は、在籍管理を徹底するため、大学・学校への出席率・成績・履修状況・資格外活動(アルバイト)遵守状況などの報告を強化しており、在留更新・変更の際にはこれらが厳しくチェックされる可能性があります。
特に、出席率の低迷、学費滞納、無断欠席が続く学生は更新拒否のリスクを高めるので注意が必要です。
COE(在留資格認定証明書)申請プロセスの電子化・効率化動向
複数のメディアで「入国審査・在留資格認定申請のオンライン手続き化」「電子申請システム導入」「予備審査制度の導入」などの動きが報じられています。
たとえば、COE申請書類の一部を先行提出して審査してもらう「予備審査」制度を導入し、正式受験通知前に審査を進められる可能性を示す報道もあります。
ただし、これらはあくまで報道ベースの情報であり、公式制度として導入が確定しているわけではありません。入国管理局の公式サイトや所轄入国管理局・学校の最新案内を確認することが不可欠です。
3. 学費・生活コスト、為替・物価の動向と対策
円安・為替変動の影響
近年、円安傾向が続いており、海外送金で学費・生活費を日本円に換える時点の為替レート変動が生活設計に大きく影響します。
メリットとしては、母国通貨を円に換算したときの金額が相対的に増える場合があり、学費負担が軽く感じられることもあります。
デメリットとしては、日本国内での支出(食料品、光熱費、家賃、交通費など)が高く感じられること、アルバイトで得た日本円の購買力が低下することです。
生活コスト・物価高の影響
エネルギー、食材、輸入品価格の上昇が継続しており、地方都市や郊外でも家賃や光熱費の負担が増加しています。
賃貸家賃、公共交通、通信費など固定費の見直しは重要です。大学の学生寮や公営住宅、コレクティブハウス、シェアハウスなどコストを抑える居住形態も選択肢となります。
アルバイト・収入サイドへの注意
日本の多くの業界(飲食、小売、物流、清掃など)で人手不足が続いており、留学生のアルバイト機会は相対的に多めとされています。ただし、労働条件の明確化、最低賃金・労働時間制限(資格外活動の範囲内)を超えないよう注意が必要です。
長時間・過剰労働や未払賃金トラブルを避けるため、雇用契約書を確認・保存し、給与明細を確実に受け取ることをおすすめします。
4. 就労・キャリア、卒業後の進路制度の動向
政府による留学生就労支援強化方針
政府は高度外国人材の受け入れを重要戦略と位置付け、留学生の就職・定着支援を強化する方向です。
支援策の例として、奨学金制度の充実、留学生向け就職ガイダンス・マッチング支援、採用時期の柔軟化などが検討されています。
大学・企業・地方自治体が連携して、留学生の就職支援体制を強化する動きも加速しています。
内定・採用プロセスと在留資格変更の関係
留学生が日本企業で正社員雇用を得た場合、在留資格変更(たとえば「技術・人文知識・国際業務」など)申請が必要となります。
このため、採用内定が出た後、ビザ変更申請期間や必要書類・審査期間を考慮したスケジュールが不可欠です。
「留学生→就労→永住」への可能性と注意点
多くの留学生が卒業後に日本で働き、将来的に定住・永住を目指したいと考えます。しかし、その道筋には制度的なハードルや要件(勤続年数、収入水準、税・社会保険履歴のクリアなど)が関わってきます。政府としても、優秀な外国人材を定着させる観点から支援強化が予想されます。
5. 外国人政策・政治情勢から見た留学生への影響
外国人材受け入れ政策の強化
少子高齢化・労働力不足を背景に、日本政府は外国人材(特に高度専門性のある人材)の受け入れを拡大する政策スタンスを堅持しています。留学生はその構成要素として重要視されており、政策的な後押しが期待されます。
安全保障・審査強化の傾向
一方で、技術流出や安全保障上の懸念から、特定分野(先端技術、機密性の高い研究分野など)への留学生には、審査が厳格化される可能性があります。出身国、研究テーマ、所属機関等が精査される場面が増えることが想定されるため、経歴・活動内容の正確な申告と書類整備がより重要となっています。
教育国際化と大学間競争
日本の大学は、世界ランキングや国際化競争力強化を目指しており、留学生受入拡大、英語プログラム導入、海外大学との連携強化を積極的に進めています。これにより、留学生に対して質の高い学びの機会や多様な交流ルートが開かれる可能性があります。
国内外情勢・地政学的リスク
国際情勢変化(台湾情勢、東アジアの安全保障、日中関係など)は、外国人政策・査証制度・在留審査基準にも影響を与えることがあります。留学生は、出身国・専攻分野・大学・所属機関などの“国際関係リスク”を意識する必要があるかもしれません。
6. 留学生向け制度・支援の最新トピック
留学生数拡大目標・政府目標
日本政府は2033年までに留学生受け入れ数を40万人に拡大する目標を掲げており、現在の在籍留学生数はその伸び基調にあります。
また、卒業後の日本国内就労を希望する留学生の割合を引き上げる政策目標も表明されています。
奨学金・生活支援制度の見直し・拡充
近年、給付型奨学金や生活支援制度の拡充を求める声が強まっており、特に成績優秀・研究型の留学生を対象とした支援の拡充が議論されています。
ただし、一部報道では博士課程の学生に対する生活補助制度を見直す案もあり、これにより対象者が限定される可能性も指摘されています。
留学生実態調査・データ公開強化
日本学生支援機構(JASSO)は、毎年「外国人留学生在籍状況・進路調査」を実施・公表しています。2025年度調査もすでに開始されており、留学生政策・制度設計の基盤データとして活用されています。
大学間・自治体による地方誘致・支援制度
少子化で学生数確保が課題となる地方では、自治体・大学が連携して地方拠点型の留学生支援や地方定住促進制度を打ち出す動きが見られます(奨学金、住居支援、インターン誘致など)。今後、地方大学を志望する留学生にはこうした制度を活用するチャンスが拡大すると見られます。
7. まとめ:リスク回避と情報更新のコツ
押さえるべきポイント
- 在留手続き(更新・変更・永住等)の手数料改定後の金額を正確に把握
- オンライン申請が可能かどうか、割引適用があるかどうかを事前に確認
- 学校・入国管理局の最新条件(日本語能力、在籍管理、出席率、成績など)を必ず確認
- 卒業後の就職・在留資格変更スケジュールを逆算して準備
- 為替・物価・アルバイト収入の変動リスクを想定し、余裕を持った資金計画を
- 奨学金制度・自治体支援・大学独自支援など適用可能な制度を常に調査
- 情報ソース(出入国在留管理庁、文部科学省、大学の国際部、行政書士・専門機関)を定期的にチェック
なぜこの情報が重要か
制度・政策は常に変動しており、特に在留資格・ビザ関連や就労制度の変化は留学生の将来設計に直結します。情報が古いままだと、更新漏れ、手数料不足、要件不適合などのリスクが高まりかねません。安全・安心な留学生活を送るためには、正確な情報とリスク管理が不可欠です。
当事務所では、最新の法令、手続きの変更点、そして複雑化する在留資格の要件について正確な情報を提供し、皆さんの「留学」から「就労」または「永住」へのスムーズな移行をサポートいたします。
当事務所は、あなたの一生涯の夢、ビジョンを一緒に達成、歩んでいけるように応援しています。
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